会社法について

株式会社化による変更点

I. 計算書類(財務諸表)が重要になります。
銀行が土地担保融資や人担保融資(保証人)の過信から巨額の不良債権が生じたことは記憶に新しいところです。銀行の収益の元は貸付ですから不動産担保以外の貸付を模索しています。「会社法」は融資の基礎となる与信(貸付)のための社会整備の意味もあります。銀行の融資決定に計算書類(財務諸表)が重要な要素になることは間違いありません。
II. 決算公告が義務付けられます。
上記のような理由から株式会社は、計算書類(財務諸表)の開示が義務付けられ、より厳格に運用されます。また、会社法には適時に正確な会計帳簿を作成する義務が課せられます。取引の時期と記帳の時期にずれが有れば当然正確さは無くなります。会社法はこんなことまで義務付け帳簿の正確さを確保しようとしています。
III. 中小企業向けの新たな「中小企業の会計に関する指針」
今回の改正に合わせて、日本商工会議所・日本公認会計士協会・日本税理士会連合会・企業会計基準委員会の四団体が共同して協議し、今までの3つの会計ルールが一本化されました。この「中小企業の会計に関する指針」が中小企業における「一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行」という位置づけになります。
IV. 与信(掛売のある)のある全ての企業も銀行と同じことがいえます。
取引先が株式会社であれば計算書類(財務諸表)が公告されますからこの財務諸表を読解し与信額を決定することになります。即ち株式会社として計算書類(財務諸表)が公告されなければその企業には与信のしようがないのです。ですから、通常の事業であれば借入れも買掛けも有りますから株式会社だけに事業は許されることになるでしょう。
V. 無借金経営なら個人事業者や有限会社のままでよい?
もちろん、有限会社は新たな設立こそ出来ませんがそのままでの存続は可能です。役員変更登記の期限も計算書類(財務諸表)の公告義務もありません。「信頼性を向上させた決算書」を担保とする必要がない無借金経営の有限会社は、そのまま事業を行うことが出来ます。もしかしたら、株式会社にしないこと=無借金経営として評価されるかもしれません。もちろん無借金の個人事業者も同様青色申告のままでかまわないわけです。