社団・財団法人の税務

 一般社団・財団法人として、従来の民法34条法人とほぼ同等の法人を誰もが自由に作ることが出来るようになりました。

 

社団・財団法人制度について、現行の公益法人設立に係る許可主義を改め、公益性の判断とは別に、一般的に社団・財団に法人格を付与する制度とすることが相当である(「公益法人制度改革に関する有識者会議」(平成16年11月19日))。この有識者会議の提言によって、平成20年12月1日公益法人3法(「一般社団・財団法人法」「公益法人認定法」「関係法律整備法」)が施行され、公益法人制度改革がスタートしました。

 これを受けて、法人税法は、非営利型法人(法人税法2条九の二)である一般社団・財団法人は公益法人として扱う(別表第2公益法人等の表)こととし、「収益事業から生じた所得以外の所得に法人税を課さない。」(法人税法7条)旨の規定を置きました。

 また、相続税法は、「持分の定めのない法人」に対する課税として、特別の規定を設けています。詳細については、各省庁のホームページや各税法条文を参照して下さい。また、関係者に限りますが質問が有ればお受けいたします。

 収益事業に課税する趣旨は、株式会社などの収益を目的とする法人との公正な競争関係を保つための課税ですから、「認定法」による認定を受けた公益社団・公益財団法人が行う公益目的事業については適用が有りません。

 

 

社団・財団法人自体の税務

Ⅰ. 法人税 以下の3通りとなります。
1. 公益社団・財団法人(「認定法」による認定を受けた社団・財団法人)
◯ 法人税法上の34事業(以下「収益事業」)にのみ課税。但し公益目的事業に該当する事業は収益事業から除かれます。
◯ 法人税率 所得800万円以下22% 800万円超30%

*「公益目的事業」・・・学術、技芸、慈善その他の公益に関する別表各号に掲げる種類の事業であって不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与するもの(「認定法」)
2. 一般社団・財団法人のうち非営利型法人(「非営利性が徹底された法人」または「共益的活動を目的とする法人」として「法人税法施行令3条」に規定)
◯ 収益事業にのみ課税。(法人税法施行令5条)
◯ 法人税率 所得800万円以下22% 800万円超30%
3. 一般社団・財団法人のうち非営利型以外の法人
◯ すべての所得に課税。
◯ 法人税率 所得800万円以下22% 800万円超30%
Ⅱ. 消費税
消費税法別表3の法人に該当しますので、特定収入による仕入税額控除の調整が必要な場合があります。
Ⅲ. 相続税・贈与税
「持分の定めのない法人」(一般社団・財団法人が含まれます。)に対する遺贈・贈与が、相続税等の負担が不当に減少する結果となると認められる場合には、当該法人に相続税・贈与税が課税されます。但し、法人税負担分は控除されます。(相続税法66条)

 

 

一般社団法人の社員や会員等の税務

Ⅰ. 会費、拠出金、掛金等の処理
○ 基金制度に基づき支払ったものは、法人に返還義務があるため支出側では必要経費にならないと考えられます。
○ 法人の経費負担のために徴収される、いわゆる会費等は必要経費となります。
○ 農産物等の価格安定基金の掛金は、国税庁長官の指定を受けたものに充てられる場合は、必要経費となります。(所得税法施行令167条の2)
Ⅱ.財産を寄付した場合
○ 法人への贈与・遺贈は原則的に時価でのみなし譲渡として所得税が課税されますが、認定法上の公益法人や一般社団・財団法人の非営利型法人のうち非営利性が徹底された法人への贈与・遺贈は、一定の要件を満たしたうえで譲渡所得が非課税となります。

注)非営利型法人のうち共益的活動を目的とする法人は含まれません。

(租税特別措置法40条1項)
Ⅲ.相続した財産を相続税申告期限前までに寄付した場合
◯認定法上の公益法人への贈与は、一定の要件を満たしたうえで当該財産を、相続税の課税価格に算入しないことができます。

注)認定を受けていない一般社団・財団法人は該当しません。

(租税特別措置法70条1項、施行令40条の3)

 

 

公益法人制度 改革の概要