「税務調査が来たらどうしよう」経営者であれば誰もが漫然と抱えている不安です。この不安の本質は普段はあまり意識することのない国家権力にあります。税務署は国家権力を背景に強力な権限を持つ行政機関です。もしも明日、「〇〇円の税金を納めなさい」と税務署員に言われたら、拒否することができるでしょうか。大抵の場合は、納得いかなくても納めてしまうのではないでしょうか。しかし、証拠能力を確保した帳簿書類の作成、整理保存を通して適正な税務申告を行っていれば何も恐れることはありません。納税額を決めるのは税務署員ではなく「法律」だからです。
なぜ帳簿は自らが毎日記帳しなければならないのでしょうか。それは、会社法第432条で適時に会計帳簿の作成が義務付けられているからです。これを実質的に裏付けているのは、刑事訴訟法第323条の「商業帳簿」に認める証拠能力です。会計事務所が一月にまとめて記帳しているような帳簿は、業務の通常の過程で作成されたものではなく、証拠としての「商業帳簿」とはなり得ません。
この様な理由から、当事務所では出納帳や会計伝票の作成、いわゆる「原始資料」の作成は全てお客様自身に行なっていただいております。これを会計事務所でお引き受けした場合には、帳簿の立証能力を著しく損なってしまうからです。この様に私どもがお届けする「安心」とは、法律を味方につけるための、細心の注意から成り立っています。