青色申告について

決算書の活用(損益計算書)

損益計算書と賃借対照表の違い

簿記では、取引を原因と結果に分けて帳簿に記帳することにしました。企業に起こる取引も無限の種類がありますから、さらにこれを類似するもの同士を集めて一つの集計の単位としています。この集計の単位のことを簿記では「勘定科目」と呼びます。勘定科目の種類のうち原因の方を集めたものを「損益計算書」と名付け、結果の方を集計したものを「貸借対照表」としました。「損益計算書」に属する勘定科目は単に原因のみ集めたものですから過去の出来事を示す記録に止まり、実在する物はありません。一方「貸借対照表」に属する勘定科目は取引の「結果」を示していますから、全てその企業に留まり実在しています。

同じ所得金額を示しつつ損益計算書は原因を明らかにし、貸借対照表は結果がどのような財産として残っているかを示しています。

 

 

損益計算書から分かること

今年の儲かった原因が分かる、また今年の損した原因が分かる。前述の様に損益計算書は財産の増減変化の「原因」だけを集めたものですから、これを見れば儲かった理由も損した理由も分かるわけです。この表からは実に沢山のことが分かります。前節同様に難しいことはさて置き簡単なところから見ていきます。

 

数字を見る上で一番簡単な方法は比較です。今年の売上は?仕入は?他人との比較が出来れば良いのですが大切な決算書を見せる人はそうはいません。それならば自分の中での比較をしてみましょう。前年、前々年との比較です。損益計算書に合わせて以下の様な表を作成してみましょう。

 

 

例年に比べて多くかかっている経費はありませんか?逆に減った経費はありませんか?「車両が壊れてよく修理した」など漠然と考えていた事柄がより具体的な数字となって現れてくるはずです。

 

ところで、勘違いしていませんか、帳簿を付ける目的は冗費節約の為だなどと。先ほどの減った費用の中に重要な戦略費用である交際費や研修費や新聞図書費が含まれていませんか、これは経営者のあなたが業務縮小の道を選んだ証拠です。また、収入の中に不正取得した補助金等は入っていませんでしょうね、これこそは企業の命取りになります。企業はそこで終わるものではありませんから、永続企業を前提に損益計算書の中身、すなわち企業利益の適正性を見ます。原因が不純ならその結果である「貸借対照表」の中身が不純物に塗れます。そして次期はこれを元に経営が成されて行き結局悪の循環が始まるからです。「人生全て塞翁が馬」などといいますが、企業もまた原因が結果になり結果が原因となって営まれて行きます。そして、その企業の生涯利益が最大に成るよう経営されて行きます。その企業の生涯利益が最大に成った時その企業はよりよく社会に貢献して来たことになります。企業利益は社会への貢献に応じ、市場を通じ、顧客を通じてそこからもたらされるものだからです。単年度の利益を見て一喜一憂するものではありません。損益計算書はその企業の利益の源泉を示していますから、多くの情報を含んでいます。